15年越しの理想の農園から。唯一無二の”強い”野菜でお客様の健康と笑顔をつくりたい。

「磯貝農園」のある糸島市志摩吉田は、山にも海にも近く、山海両方の恩恵を受けやすいエリア。山からの清らかな空気、潮風が運んでくるミネラル、そして渾々と湧く地下水を吸い込んだ、四季折々の野菜を栽培している。



15年探し続けた理想の農地。

磯貝さん:「祖父が農家だったこともあり、幼い頃から『いつか農業をしたい』という思いがありました。」

30歳になった頃から、当時していた自営の仕事の傍ら農園を探し続け、現在の農地を見つけるまで何と15年かかったそうだ。

磯貝さん:「サーフィンが好きで、地元の北九州からよく糸島に来ていたのですが、糸島で農業をするのが憧れでした。特にこの場所は一目惚れでしたね。街中で作るよりも、自然が美しい場所なので、自然と気持ちよく野菜づくりができています。」



"強い"野菜。

代表の磯貝さんが最も心血を注ぐのは『土壌づくり』。自然由来の肥料をもとに、良性微生物が増え、健康でたくましい野菜が育つ体作りを目指しているとのこと。そして、毎年の土壌分析も欠かさない。何が足りないかを観察、反省し、次期の栽培に活かしている。オリジナルの配合でつくる肥料も、反省を活かしながら、毎年微調整をするそう。

磯貝さん:「特に夏のハウスは60℃以上になるので、弱い野菜は生きていけません。健全で強い野菜の命をいただくことで、人間も健康で免疫の強い身体をつくることができると思っているので、この場所であっても環境や病虫害に耐え得る強い野菜作りを目指しています。」

磯貝農園では、無農薬による栽培が基本方針。ハウス内に迷い込んだ虫も1匹1匹、手で捕まえているそう。まるで子育てのように、常に状態をうかがい、愛情を込めて育てられた野菜には、ホッとする安心感と強い生命力がある。



夏野菜を、秋に楽しむ。

磯貝農園では、一般的に夏野菜として知られているとうもろこしを、秋に栽培する。秋は夜の気温が下がり、生育スピードが緩やかになるが、夏よりもじっくりと育てる分、濃密な甘みがプラスされる。

磯貝さん:「もちろん栽培の効率は落ちます。でも、そんなことは気にもなりません。毎年お問い合わせをいただくほど、お客さんに喜んで待っていただいているので、秋とうもろこしはずっと続けていますし、さらに今年からは秋ズッキーニも生産しています。『お客さんに本当に美味しいものを知っていただきたい』と、美味しさを極限まで追求した結果、一般的に言われる"シーズン"を外してつくる判断に至っています。」



9割の苦労と、1割のやりがい。

「農家は苦労が9割」という磯貝さん。それでも、野菜が売れた時の嬉しさや、お客様の喜んでいる姿といった残りの1割のやりがいが、磯貝さんの日々の活力になっている。

磯貝さん:「正直、農業がここまで大変とは思いませんでした。ただここまでやりがいがあるとも思っていませんでした。安心と美味しさをお客様へ届けて、喜ばせたい。笑顔を増やしたい。という使命感は就農した時から全く変わっていないです。」

野菜は人の健康を根本から支えるものだから。自分のつくった野菜で、お客様の日々の食卓を彩り、健康と笑顔をつくりだすことができるということが、何にも代えられない農業の魅力だと語る。



「日本の農業は自分たちから変えていく」

日本の農業の未来は決して明るいとは言い難い昨今。磯貝さんは今後、自身と同じ価値観で農業に興味のある仲間を多分野からも求め、農業の可能性を広げていきたいとのこと。安心・美味しいは当たり前。農園それぞれの個性を活かし、お客様に自然と生産者に興味を持ってもらえるような構造をつくっていくことで、農業の新時代を切り拓いていきたいと考えている。「日本の農業の未来は自分たちから変えていく」という強いエネルギーで、今後も挑戦を続ける。

文:田崎 琴乃

写真:emma. Inc.(一部農園様ご提供)